スレイヤーズいみていしょん

第2話

 

  「タチ・・・サレ・・・」
  「やれやれ、仕方ありませんねぇ」

 全然困ってない口調で黒ずくめの神官・・・ゼロスが言う。

 その隣には、澄んだ緑の髪の少女がいる。
 耳が長く、エルフである事を示している。
 恐怖からだろうか。ひしっ、とゼロスの服にしがみついている。
 ゼロスは、恐怖を癒すようにぽんっ、と頭の上に手を置くと、笑みを浮かべながら優しく言った。

  「ラミィさん、ちょっとだけ目をつぶっていて下さい」

 エルフの少女・・・ラミィは黙ってうなずくと目を閉じた。

 

 

  「この先で誰かが戦ってるわっ!」

 微かに瘴気と、殺気とを感じる。

  「えっ?ちょっ・・・いきなり走らないで下さいよっ!」

 なんだろう・・・嫌な予感がするなぁ・・・。
 案の定、そこには見知った顔があった。

 

 

  「いやぁ、お久しぶりですねぇ。リナさん、お元気でしたか?」
  「はいはい、元気だったわよ。それで?今度は何をたくらんでるわけ?」
  「嫌ですねぇ。せっかく再会したのに、もっと喜んで下さいよ」
  「・・・あのねぇ、どこの世界に魔族と再会して喜ぶ奴がいるってのよ」

 『魔族』という言葉に、一瞬ルセアさんがビクっとするが、構わず話を進める。

  「だいたい、そのエルフの子、どうしたのよ。まさか・・・さらって来たんじゃないでしょうね?」
  「ゼロス様はそんな事しないわっ!!」

 それまで無口だったラミィがいきなり叫びだす。

 ・・・をやをや?

  「わ・・・悪口言わないでっ!」

 あたしとルセアさんが不思議そうに見ていると、もう一度、今度は小さめに抗議する。

 あ、赤くなてるし。もしかするともしかして・・・?

  「も・・・もの好きな・・・」
  「どうゆう意味なのっ?」

 ぽつり、と言った言葉が聞こえたのか、今度は怒り出す。・・・うーむ、さすがはエルフ・・・。

  「まぁまぁ二人とも。
   今日はこの辺りで野宿するおつもりなのでしょう?とりあえず火でもおこしませんか?」

 

 

 パチン。

 炎が音をたて、小さな焚き火が燃える。

  「詳しく説明してもらうわよ。
   言っとくけど、いきなり『それは秘密です』なんて言ったら、アメリアに精神攻撃してもらうわよ」
  「い・・・いや、それはちょっと・・・」
  「で、何が起こってるわけ?」
  「たいした事じゃありませんよ。この先に遺跡があるんですけど、その中にちょっとしたモノがあるんです。ラミィさんには、お手伝いをしてもらおうと思いまして。」
  「そう、ラミィ、ゼロス様のお手伝いをするのv」
  「ラミィちゃん、もしかして、ゼロスさんの事が好きなの?」

 にこにこしながらルセアさんが聞く。

  「えっ!そんなぁ・・・好きだなんて・・・v」

 好きなんだな。

  「それで?結局何をたくらんでるわけ?その子を連れてるって事は、扉を開く『鍵』とかになってるとか、どうせそんなとこなんでしょう?」
  「それは秘密です」
  「何でよっ!」
  「だってその理由を言ったら、リナさん、絶対着いて来るじゃないですか」

 ほほーう。なるほど。

  「つまり、あたしが着いて行きたくなるようなモノがあるわけねぇ?」
  「うっ・・・」

 ふっふっふっ。必殺、誘導尋問!

  「あの、ゼロスさん?どのみち私達、その神殿に向かっているところなんです。それに目的は、中がどうなっているのか調べるだけですから」

 おろおろするゼロスに、話しかけるルセアさん。

 が、甘いっ!ダンジョンに入ってまずすべき事は、宝箱あさりと大昔から決まっている(・・・はず。)
 苦労して奥まで行って、何も盗らず・・・もとい、いただかずに帰って来るなんぞ、メニューを頼んでメインを食べずに帰るのと同じである。

  「そう言えばリナさん、敵の奇襲にあいませんでしたか?」
  「あぁ、あれね。なんか物凄く弱っちかったけど・・・あれもやっぱり魔族なわけ?」
  「一緒にしないで下さい・・・と言いたいところですが、哀しくもそのとおりです。まぁ、下級もいいところ、ですがね」

 すくっ、とゼロスが立ち上がる。

  「さて、僕は木の上で見張りでもしていますから、みなさんは安心してお休みになって下さい。明日の事は、朝になってからという事で」

 しゅんっ、と木の上に飛び乗る。

  「あああぁっ!ラミィも行くぅ!」

 あ。置いてかれた。

  「ラミィちゃん、明日になったらまた会えるわよ。その時にまた甘えればいいんじゃないかしら?」
  「うぅぅ・・・・・・」

 何やら言いたげなラミィ。涙を堪えつつ、ゼロスのいるはずの場所を見る。
 あーぁ、女の子泣かしちゃって・・・。

  「ラミィちゃん、ゼロスさんのどういうところが好きなの?よかったら聞かせてくれない?」

 ・・・ルセアさん・・・すっかりラミィの保母さんと化してるし・・・。

  「・・・え・・・えっとねぇ・・・まずね、あの優しい顔でしょ?あと、背が高くて、すっごく頼れて・・・。さらしとな髪の毛とか、あと・・・」

 ・・・あれ?いつの間にか泣きやんでるし・・・?

  「たまに見せる開いた目とか、『それは秘密です』ってセリフとか・・・」

 ・・・これはっ!『好きな人の話はいくらでもできるわよ攻撃』なのではっ!?
 この攻撃につかまると、話してる当人が話し疲れるまで逃れることはできない。

  「あとねっ、ラミィを何度も魔族から守ってくれたし、怖いよぅって抱きつくと、必ずラミィの頭をなでて『大丈夫ですよ、ラミィさん』って言ってくれるのvそれから・・・」

 

  

 

 続く。

 

第1話に戻る /第3話を読む/ 小説のTOPに戻る