スレイヤーズいみていしょん

第1話

 

 夕日が、森の奥に沈もうとしていた。
 町から半日ほど歩いた森の中、あたし達は先を急いでいた。
 剣士にして天才美少女魔道士たるあたし、リナ・インバースと、町で知り合った女性である。

  「もう少し行ったら、獣道があって、それを横切ってまたもう少し行くと、目当ての場所に着くはずです」

 頭の中の地図を思い出すようにその女性・・・ルセアさんが言う。

 歳のころなら、あたしよりは2つ3つ上だろうか。
 淡いブルーで髪に軽くかかった髪、ゆったりとしたローブを着込み、眼鏡をかけた学者である。

 

 神殿に眠る謎を解き明かす、その手伝いをして欲しい・・・そう頼まれたのが始めだった。
 話によると神殿の中には数々のトラップがあり、入って行った者は一人も帰らずじまい。
 だがその奥には、古代の大魔道士が残した遺産があるという。
 どーにも胡散臭い話だが、このところ暇だったのと、お宝目当てに話にのったのである。
 それにお宝なんぞ、このあたしがちょっと本気を出せば見つからないものは無いに等しい。(自慢っ!)
 となれば、その過程で謎を解く・・・つまりルセアさんの依頼も同時遂行できて、まさに一石二鳥なのである。

 

  「あの、リナさん。敵が出たら倒して下さいね・・・。私、何も出来ませんから・・・」
 びくびくしながら、今日何度目かの同じセリフを言う。
  「大丈夫ですってば。このあたしにまかせておけば、敵も味方もすぺぺのぺですから」
  「リナさんんんんんんっ!!」
 泣きそうな顔で服にしがみついてくる。
 ・・・軽い冗談だったのになぁ。だいたい、そんなに敵が怖いなら、学者なんか辞めて畑でも耕してたほうがいいと思うんだけど。ってそれも嫌かなぁ・・・。
  「助けてくれますよねっ?リナさん、・・・・・・リナさん?」
 あたしは足を止めていた。
 虫たちの声が止み、近くに気配を感じる。
 そして、瘴気。
 この感じはおそらく・・・。

  「ココカラ・・・タチ・・・サレ・・・・・・」
  「そんなとこに隠れてないで、とっとと出てきたら?それとも、出てくるのが怖いわけ?」
  「タチ・・・サレ・・・・・・」

 しゅっ!

  瞬間、何かが飛んでくる。

 しゅんっ!!

 とっさに剣を抜き、何かを切り落とす。

  「何っっ?」
  「ルセアさん、あたしの側から離れないでっ!」

 するっ・・・・・・

 日も暮れかけた薄暗い木々の奥から、闇の色をした者が現れる。
 ほとんど形らしいものはなく、何かがわだかまっているだけ。
 正真正銘・・・魔族。
 だが、物理的な姿が無いという事は、おそらくは低級なのだろう。

  「タチ・・・サレ・・・・・・」
  「どうして引いてほしいのか教えてくんない?」
  「タチ・・・サレ・・・・・・」
  「そこを何とかっ」
  「シンデ・・・モラ・・・ウ・・・・・・」

 どうやら、話せる相手ではないようである。
 まぁ、はなから期待はしてなかったが。

 しゅっ!

 さっきと同じ攻撃かっ?
 ルセアさんをかばいつつ、何とか避ける。
 何かはそのまま通り過ぎ、数枚の葉を切り落とした。

 「烈閃槍!」

 振り向きざまに、光の槍を投げつけてやる。
 これが当たれば、多少なりとも精神体にダメージをうけるはずである。

 「ヴヴ・・・ヴヴヴヴ・・・ヴヴヴ・・・」

 聴き取れない声で悲鳴(?)をあげると、闇に溶け、消える。

 ・・・・・・よ・・・弱すぎる・・・・・・

 たかがエルメキア・ランスごときで滅びるなんぞ、ゴブリンとかぐらいだと思っていたが・・・。

  「い・・・今のって、魔族ってやつですよね・・・?」
  「うん、いちおーね。むちゃくちゃ弱いやつだったけどね」
  「今ので弱いんですかっ?!」

 ・・・・・・あれのどこが強くみえたとゆーんだ・・・。
 まぁ、ルセアさんが驚くのも無理はない。
 普通に旅をしている限りでは、逢ってせいぜいレッサーデーモンくらいで、人によっては一生出会わないこともある。
 ・・・しかし、今みたいなよわっちーのが『魔族』だと思われてていーんだろうか・・・。

  「さ、じゃあ、もう少し進んだら今日は休みましょうか、ルセアさん」

 

 

 

 続く。

 

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